教習所での厳しい日々を乗り越え、無事に免許を取得された皆さま、本当におめでとうございます。そして、久しぶりにバイクの世界へ戻ってこられたリターンライダーの皆さま、おかえりなさい。
ピカピカの愛車を前に、ワクワクした気持ちでいっぱいかと思います。ですが、その一方で「本当に私に乗りこなせるだろうか…」と、胸の奥がキュッと締め付けられるような不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
「教習所ではできたのに…」その不安、あなただけではありませんよ
いざご自身のバイクにまたがってみると、「教習車よりもずっと重く感じる」「足つきが不安」「公道の車のスピードが速くて怖い」といった戸惑いを感じるかもしれませんね。
「せっかく大型免許を取って憧れのバイクを買ったのに、車庫から出すだけでクタクタになってしまう…」
「公道に出たら頭が真っ白になってしまって、バイクに乗るのが億劫になってしまった…」
そんなお悩みを抱えて、当スクールにご相談に来られるライダーさんは本当にたくさんいらっしゃいます。ですから、「こんなことでつまずくなんて、自分には向いていないのかな」と、自分を責めないでくださいね。
教習所は、いわば「守られた安全な空間」でした。そこから、予測のつかない公道へと飛び出すのですから、恐怖心を感じるのは、あなたが危険を正しく察知できていきる証拠です。
今日は、教習所を卒業した後に多くの方がぶつかりやすい「壁」と、それを少しずつ乗り越えていくためのヒントをお話ししますね。
つまずきやすいポイントと、無理のない練習のヒント
教習所を卒業したばかりのころや、久しぶりの運転でつまずきやすいのは、特別なテクニックではなく、実はごく基本的な操作の部分であることが多いのです。
発進・停止時の「エンスト」と「立ちゴケ」の恐怖
公道の信号待ちで先頭になってしまったとき、「エンストしたら後ろの車に迷惑をかけてしまう!」と焦ってしまった経験はありませんか?その焦りが、急なクラッチ操作に繋がり、結果としてエンストや、バランスを崩しての「立ちゴケ」を招いてしまうことがよくあります。
【練習のヒント】
もしエンストしてしまっても、「ゆっくりやり直します」と心の中でつぶやきながら、深呼吸をひとつしてみてください。周りの車は、あなたが思うほど気にしていないことがほとんどですよ。
まずは、ご自宅の駐車場や安全な空き地で、アクセルを回さずにクラッチの繋がり始め(半クラッチ)だけでバイクがスルスルと前に進む感覚を、何度も確かめてみるのも一つの手です。
車体を取り回すときの重さへの戸惑い
40代、50代と年齢を重ねると、200kg近くある鉄の塊を腕の力だけで押し引きするのは、本当に骨が折れますよね。
【練習のヒント】
バイクは「腕の力」ではなく「腰と体全体」で支えるのがコツです。タンクに腰(骨盤のあたり)をピタッと密着させて、バイクを少し自分の方へ傾けて寄りかかるようにしてみてください。これだけで、腕への負担がふっと軽くなるのを感じられるかもしれません。
重くて動かすのが不安なときは、無理にバイクを降りて押さなくても、またがったまま足で少しずつ進む「ツンツン歩き」でも立派な移動方法ですよ。
カーブや交差点でのふらつき
公道の交差点は、教習所のように綺麗ではなく、砂利が浮いていたり、マンホールがあったりします。「滑ったらどうしよう」と地面ばかり見てしまうと、バイクは余計にふらついてしまいます。
【練習のヒント】
「バイクは視線を向けた方向に進む」という特性を持っています。怖いときほど、行きたい方向の「出口」を見るように意識してみてくださいね。スピードは、直線にいるうちにしっかり落としきってから曲がり始めれば大丈夫です。
まずは、日曜日の早朝など、車通りの少ない時間帯に「近所をぐるっとお散歩するだけ」から始めてみませんか?10分でも15分でも、無事に帰ってこられたら大成功です。
不安を和らげる「お守り」となる装備や工夫
ご自身の技術だけで不安を乗り越えようとする必要はありません。道具の力を借りて、心の負担を軽くしてあげるのも賢いバイクの楽しみ方ですよ。
「エンジンガード」や「スライダー」を付けてみる
立ちゴケへの恐怖心を和らげる一番の特効薬は、バイクを守るパーツを付けることです。「もし転がしても、バイクに大きな傷はつかない」と思えるだけで、肩の力が抜け、結果的に転倒を防ぐことにも繋がります。
足つきをサポートするアイテムに頼る
停車時のグラつきが怖い場合は、足つきを良くする工夫をしてみましょう。
少し靴底が厚くなっているライディングブーツを履いてみるだけでも、安心感が劇的に変わることがあります。また、バイクショップにお願いして、シートのスポンジを少し削ってもらう「あんこ抜き」や、車高を少し下げる「ローダウン」といった調整をしてみるのも良い方法ですよ。
「初心者マーク」を貼ってみるお守り効果
バイクには初心者マークの貼り付け義務はありませんが、あえてヘルメットの後ろやバイクの見えやすい場所にステッカーを貼ってみるのもおすすめです。
周囲のドライバーに「私はまだ不慣れです」とアピールすることで、車間距離を空けてくれたり、優しく見守ってくれたりすることが増えますよ。ご自身の心を守る「お守り」として、活用してみてはいかがでしょうか。
焦らなくても大丈夫です。バイクは逃げませんから、ご自身のペースで少しずつ、バイクと仲良くなっていってくださいね。
